食物アレルギーの原因検索は容易ではありませんが、発見されると対策が取りやすくなり、
多くの患者さんが救われます。
以下は、皮膚科やアレルギー科の学会では結構話題になっていた話ですが、最近新聞に載りましたね。
>サーファーは納豆アレルギーに注意? 原因は海中に潜む 朝日新聞デジタル
これを発表したのは横浜市大の皮膚科の女医さんです。
詳しくは記事を読んでいただけるとわかりますが、納豆アレルギーの人にサーファーが多いのを不思議に思い、
調べてみたら、どうやらサーファーはクラゲに刺されることが多く、納豆アレルギーを起こす
ポリガンマグルタミン酸(PGA:ネバネバ成分に含まれる)が、クラゲでも産生されており、
体に注入されたPGAで感作されて納豆アレルギーになるということだそうです。
横浜という地域性を感じる発見ですね。これにも劣らない興味深い食物アレルギーの意外な原因で、
「牛肉アレルギーは犬を飼っている人に多く、その血液型がAかO」という話があります。
これを発表したのは、島根大の皮膚科の女医さんです。牛肉には(豚肉、子持ちカレイにも)α-gal という
糖鎖が含まれていて、これが牛肉アレルギーを引き起こすようですが、マダニの唾液腺にもα-gal が含まれており、
刺されることで体に注入されたα-gal で感作されて牛肉アレルギーをひき起こすという理屈です。
この女医さんは、牛肉アレルギーの方にマダニに刺された経験があるかを確認しても、
はっきりしなかったようですが、なぜかほとんどの方が犬を飼っていることに気がついたようです。
犬を散歩させていて気が付かないうちにマダニに刺されていると考えたわけです。さらに興味深いのが、
ほとんどの方がA型かO型の血液型ということ。ざっくり簡単に言うと、B型の血液型抗原の表面にはα-gal糖鎖が
存在していて、自分の体内にあるものに対してはアレルギー反応を起こしにくい体になっているため、
B型とAB型の人は牛肉アレルギーにはなりにくいようです。
2つとも素晴らしい発見です。同じ皮膚科医としてすごいなあと思います。
特に、島根大の先生はいつもドヤ顔でこの話をされるので、参りました~と自然に頭が下がります。
やはり、アレルギーの原因を追求するには、ボーっと診察していてはだめですね。チコちゃんに叱られます。
>チコちゃんに叱られる! NHK
(そういえば、この番組でも、血液型と糖鎖と病気のなりやすさの話が出ていましたね)
今年は12月28日(金)まで診療します。来年は1月5日(土)から診療を開始します。来年もよろしくおねがいします。