前頭部あるいは頭頂部から髪の毛が薄くなっていく、いわゆる男性型脱毛症(AGA)の発症には男性ホルモンが大きく作用していることはよく知られています。
男性ホルモンのうち、おもに精巣で作られるテストステロンが皮膚に移動し、5α-還元酵素という酵素によってジヒドロテストステロン (DHT)という物質に変換されます。このDHTが、毛包の毛を作っている部分に作用して、毛を薄くしてしまい、最終的に毛包を消失させてしまいます。
AGAの治療法は、薬剤の作用機序で分けるとおおまかに2つあります。
A.5α還元酵素をブロックして脱毛の原因となるDHTの産生を抑制する。
B.局所の血管を拡張させることで血行を改善させ、毛包への栄養成分の供給を増やす。
**処方可能な内服薬
1.フィナステリド(先発品の商品名:プロペシア、 後発品の商品名はフィナステリド)
2.デュタステリド(先発品の商品名:ザガーロ、 後発品はありません)
いずれも、5α-還元酵素の働きをブロックしますが、2種類ある還元酵素のうち、フィナステリド(プロペシア)は2型だけを抑制し、デュタステリドは1型と2型の両方を抑制します。
**それぞれのメリット・デメリット
フィナステリド(プロペシア)
メリット
1.比較的早期に進行を抑制することができる。
2.副作用が比較的少ない。
デメリット
1.発毛するには時間がかかる→外用薬併用で解決可能。
デュタステリド(ザガーロ)
メリット
1.フィナステリドよりも効果が強く、比較的早期に進行を抑制することができる。
2.発毛には時間がかかるが、フィナステリドよりも早い。
デメリット
1.性的な副作用が比較的多い(副作用の欄参照)
2.内服中は子供を作ることが出来ない。3ヶ月程度の避妊が必要。
**処方可能な外用薬
1.FR-07(7%ミノキシジル、アデノシン、アゼライン酸など)
2.FR-12(12%ミノキシジル、アデノシン、アゼライン酸など)
ミノキシジルは,頭皮に外用することで頭皮の血行が促進し,毛根に刺激を与えることで毛母細胞が活性化されるため,結果的に発毛・育毛効果を持つと考えられています。日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症治療ガイドラインでは、ミノキシジル製剤の推奨度はAランク(強く勧められる)となっています。
アデノシンも発毛・育毛製剤の1つで、抜け毛を予防したり、発毛を促進したり、髪を太く長く成長させることが証明されています。日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症治療ガイドラインでは、アデノシンの推奨度は男性がBランク(勧められる)、女性がC1ランク(行ってもよい)となっています。
**それぞれのメリット・デメリット
メリット
1.発毛効果は内服薬よりも強い。
2.内服薬との併用にて発毛効果が増強される。
デメリット
1.外用だけの場合、増毛していても抜け毛の進行は止まらない可能性がある。
2.かぶれることがある(2-3%)。
現時点で理想的な治療法は、フィナステリドあるいはデュタステリドの内服とミノキシジル外用薬の外用を組み合わせた治療です。ある程度進行している方は両薬剤の併用をおすすめします。逆にあまり脱毛が進行していない方であれば,内服薬だけで十分です。
***治療費(健康保険は適用されません) (診察料込みの価格です。別途消費税がかかります)
【内服薬】
プロペシア(28日分)・・・・・・9,000円
*フィナステリド(28日分)・・・6,000円、 (90日分ボトル)・・・18,000円
ザガーロ (30日分)・・・・・・10,000円
*デュタステリド(30日分)・・・・7,500円 6,000円(価格改定しました)
上記の*フィナステリドはプロペシアのジェネリック製剤、デュタステリドはザガートのジェネリック製剤です。
【外用薬】
FR07 1本1か月分 ・・・・・・・・ 8,000円
FR12 1本1か月分 ・・・・・・・・ 9,000円
【併用例】 プロペシア28日分 + FR07 1本1か月分・・・・ 16,000円
【併用例】 フィナステリド28日分+ FR07 1本1か月分・・・ 13,000円
【併用例】 デュタステリド30日分+ FR07 1本1か月分・・・・・・ 13,000円
上記以外でも、【内服薬】+【外用薬】の組み合わせで 外用薬が1本あたり1,000円割引
*血液検査(血算,生化学検査)は,1回につき別途3,000円(税別)かかります。
プロペシア(フィナステリド)
・長期間内服することになるので、定期的に血液検査を受けてください(最低でも年に1回)。
・子供を作りたいときは、1ヶ月程度内服を中止しておきましょう。
・内服中の前立腺がんのマーカーである、PSA値が約半分の値になるので、ご注意を。
・内服中に異常を感じたときは内服を中止して医師に相談してください。
ザガーロ(デュタステリド)
・長期間内服することになるので、定期的に血液検査を受けてください(最低でも年に1回)。
・子供を作りたいときは、1ヶ月以上(できれば3ヶ月以上)内服を中止しておきましょう。
・内服中の前立腺がんのマーカーである、PSA値が約半分の値になるので、ご注意を。
・内服中に異常を感じたときは内服を中止して医師に相談してください。
ミノキシジル
・治療開始1ヶ月前後に初期脱毛という抜け毛が増える時期がみられることがありますが、数週間以内に収まります。
・2-3%の方でかぶれることがあります(痒くなります)。
・まれに血圧や心臓に影響があるとされておりますので、高血圧で内服薬を使っている方や心臓の悪い方、ご高齢の方はご注意ください。